■最終決戦3組の動向は?

 今年、令和ロマン・高比良くるまは大会前に4本のネタを提出しており、出順によってネタを変える予定だったという。結果、トップを引いた瞬間に目標を優勝から番組を盛り上げることに切り替え、観客に話しかける部分を含むしゃべくりを選んだ。

 トップで盛り上げて、その後、高得点が出やすい空気を作る。6年目、ファイナル初出場でそこまで考えられる芸人がほかにいるのだろうか。思えば決勝進出者発表の瞬間にも、喜びや安堵の表情を隠そうとしないほかのファイナリストに比べ、令和ロマンの2人は静かに頭を下げるだけだった。

 こうした考え方に至るには、少なくとも自分たちはどのネタをやっても確実にウケるという前提が必要だ。くるまは最終決戦の直前にも、ヤーレンズ、さや香と3組でネタや順番について話し合ったと事後の配信番組で明かしていたが、このときにも「自分たちは漫才コントでウケるので」とサラっと語っていた。

 来年、もし出場が叶うなら、やはり大本命となるだろう。勝ち負けは時の運だが、くるまという漫才師だけが『M-1』に違う景色を見ていることは明らかだ。