■2017年 第13回大会

03年から『M-1』にエントリーし、10回目の準決勝をようやく突破したとろサーモンが、そのまま王者に。最終決戦はとろサーモン4票、和牛3票となり、ここから和牛の苦難の道が始まることになる。

・「笑神籤(えみくじ)」ってなんだよ

この年から、出順が直前までわからない「笑神籤(えみくじ)」が導入される。これにより出演者は終始緊張が強いられ、本番中はトイレに行くこともできないという事態に。敗者復活が10番手に登場する有利を少しでも平等にしようという施策だったが、導入当初は業界内外で賛否両論があった。今ではすっかり楽しい要素になっているが、出演者の負担が減ったわけではない。

・ミキの全国デビュー

ミキが渡辺正行と上沼恵美子から最高得点を受けて650点、3位で最終決戦に進出した。審査コメントを振られた礼二、松本人志、博多大吉の3人がそろって「ネタは別におもしろくない」という意味の発言をしていたが、勢いとテンポで全員90点以上という高得点を手にしている。後にミキの漫才はホームラン級のボケがない「バント漫才」と揶揄されることになるが、それだけ技術が高いということである。

・ジャルジャルについての2、3の出来事

10番手に登場したジャルジャルは「ピンポンパン漫才」を披露。松本が自己最高の95点を入れるも、合計636点で6位という結果に。この結果が出た瞬間、後藤淳平が「審査員の方、こしょばしたら点数が~」とボケる横で福徳秀介は頭をかきむしり、「おまえ、ようボケれんなぁ、今」とテレビの生放送中とは思えない表情で落胆する。さらに礼二の低評価コメントが追い打ちをかけ、福徳の目にみるみる涙がたまっていった。大会終了後、GYAO!で配信された事後番組で、いよいよ福徳は泣き出してしまった。

この結果を受け、暫定席3位のとろサーモンが最終決戦に生き残り。

・誰もトップだと思っていない

そのとろサーモンのファーストステージの採点では、誰もトップ評価を入れていない。7人中5人が93点で並び、最終決戦にも和牛、ミキに次ぐ3位での進出だった。「ウエディングプランナー」「旅館」とハイクオリティな伏線回収ネタを2本そろえた和牛が有利に見えたが、この日は久保田和靖が笑いの神様に愛されたような、屈辱にまみれ、それでも折れなかった久保田にこの日だけ女神が振り向いたような、そんな夜だった。