◆評価を観客に委ねた「THE SECOND」の影響も?
敗者復活戦の新ルールはとても秀逸である。各ブロックの勝者はランダムで選ばれた観客が決める。つまりは観客投票であり、一見国民投票で危惧されていた人気投票になりかねない。しかし、2023年から開催された芸歴16年目以上の芸人が出場資格の賞レース「THE SECOND~漫才トーナメント~」(フジテレビ系)では、予選から決勝まで観客全員による投票が行われたものの、特に勝敗に関する不満の声は聞かれなかった。
審査後に観客にコメントを振るなど、観客側に責任感を覚えさせる“仕掛け”がなされていたが、芸人の人生がかかっていることを理解したうえで責任を持って観客が投票したことが波風が立たなかった要因と言える。敗者復活戦でもルールは異なるが、観客に委ねるという意味では同じ。「THE SECOND」が「観客に任せても良いのでは」と思わせる大会になったことが今回のルール変更の背景にあるように思う。
とはいえ、観客投票のみではなく、最終決定はプロが判断することにより公平性と納得感を与えることができる。かなり考え抜かれたハイブリッドなルールであり、敗者復活戦を巡る騒動は落ち着くかもしれない。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki