もうすぐお盆。ご先祖さまのお墓参りをする際、故人に思いをはせながらも心のどこかで「将来、このお墓を自分が継がなければいけないのだろうか……」と一抹の不安を感じたことのある人も案外、多いのではないでしょうか。
こうした「お墓問題」の解決の手だての一つとして注目されるのが「墓じまい」です。
しかし、「墓じまい」をした後、遺骨はどうするのか?と気になりますよね。今回は「全国石製品協同組合(以下、全石協)」が実施した「墓じまい」についてのアンケート結果を紹介します。この結果から、遺骨の意外な引っ越し先がわかりました。
墓じまいの理由は「継承者がいない」
アンケートは2018年6月1日から6月30日にかけて、インターネット調査で行われました。回答者は「お墓じまい」をした30歳以上の男女141人です。
まず、「お墓じまい」を行った理由について質問したところ、最も多かった回答が「継承者がいない」でした。
墓じまいを行った理由
継承者がいない…62.8%
お墓が遠い…17.5%
お墓の維持費が高い…13.1%
継承者はいるが子供に迷惑を掛けたくない…6.6%
墓じまい後も「新しいお墓」で供養し続ける
気になる遺骨の行き先については、下記のような結果となりました。
墓じまいをされた後、遺骨はどうされましたか?
新しいお墓を建てて納骨…42.3%
納骨堂…16.1%
永代供養墓…14.6%
既にある別のお墓へ移動…10.2%
海洋散骨…6.6%
自宅・実家に安置…5.8%
樹木葬…4.4%
墓じまいを行った人のうち、「新しいお墓を建てて納骨」「納骨堂」「永代供養墓」「既存のお墓へ移動」と答えた人の合計は8割に上ります。
つまり、墓じまいはお墓が不要というわけではなく、お墓を引っ越しする一つのプロセスとして行われていることがわかりました。
アンケートを実施した全石協は、こうコメントしています。
「“墓じまい”という言葉が、ネットやマスメディアで多く取りざたされる際には、墓じまい=お墓を撤去して納骨場所を無くしてしまい、墓参などの供養行為を行わない。と言った、あたかも『日本人の供養心が薄れている』や『お墓離れが進んでいる』という論調が散見されるが、当アンケートの結果、実際に“墓じまい”を行う人は、お墓を別に用意し、その中でも“新しいお墓”を建て先祖や故人を供養し続けるのが最も一般的な姿であることが、このアンケートで示された」
供養の選択肢はたくさんある
アンケートでは「樹木葬」や「自宅に安置」と回答した人もいます。最近では洋室に合う小さな仏壇も販売されていますし、遺骨をペンダントにする方法もあります。ご先祖を供養する方法は多様化しています。
ただし、お墓のあり方については家族の思いもあります。お盆に帰省の予定がある方はぜひ話題にしてみて、ご家族の意見をヒアリングしてみてはいかがでしょうか。
文・矢尾ともこ(ファイナンシャル・プランナー)
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