とある吉本社員に突如下った「漫才を盛り上げろ」という至上命令──

国民的イベントとなった年末の漫才頂上決戦は、いかにして産声を上げ、育まれたのか。島田紳助とともに『M-1グランプリ』を立ち上げた男・谷良一氏に話を聞く。

(取材・構成=新越谷ノリヲ/写真=高田遼)

   

「昔から、いとし・こいし、やすし・きよしなど、どちらかというとオーソドックスな漫才が好きですけど、言いだしたらきりがないです。最近で言うと和牛とかさや香とかかな、でも金属バットとか、ロングコートダディとかみんな面白いと思いますよ」

 サンドウィッチマンが劇的な優勝を果たした2007年大会を最後に『M-1グランプリ』の現場を離れた谷良一は、吉本興業を退任した今も新しい漫才を楽しんでいた。