◆好きな男の子のピンチを「ウケる」と笑う怖さ

 ちふゆは、深愛が那須川の待つ車に近づき、親しげに話したあと同乗していくのを目撃する。「不倫……? ウケる。超ピンチじゃん、ハルキん家」と笑う。好きな人のピンチだと思うなら心配するのが普通だろうが、ちふゆはこれをおもしろがっているのだ。ハルキのピンチは自分のチャンスだと思っているのだろう。

 ちふゆはその日から、ハルキのマンションを監視しつづける。その結果、週3日、「あの女(深愛のこと)がハルキのマンションから出てくる」ことがわかった。ある日、深愛とハルキが立ち話をしているのを見たちふゆは、深愛をじっと見送るハルキのたたずまいから、彼の「好きな人」は深愛だと直感する。ボロボロと涙をこぼしながらハルキを見つめるちふゆが、とんでもなく怖い。