◆恋と愛の違いかもしれない
恋に振り回されたり相手の男の言いなりになったりして、ジェットコースターに乗っているような激しい揺さぶりこそ恋だと思いたくなるときはある。だがじっくり考えてみれば、「情熱的に好き」なことと「ふたりで生きていく」こととの間には大きな違いがあるのだ。恋と愛の違いかもしれない。
「情熱的な恋を求めているだけで、先のことなどまったく考えていない」のなら、恋に身を投じるのも楽しい。恋は不可抗力だから、うっかりそんな恋に巻き込まれたとしてもあとで取り返しはつく。
だが、「生涯をともに歩む相手と愛情を育みたい」なら、情熱に振り回されているだけではだめなのかもしれない。地に足をつけて、しっかり相手を見つめ、とことん話し合わなければ、相性は見定められない。それでもうまくいかないこと、失敗だったと思うことはあるはずだ。
夫の横暴に耐えていた郁子だって、ついに我慢の限界を感じて逃げ出した。結婚するときまさかこんなことになるとは思っていなかっただろう。何があるかわからないのが人生。だが郁子は49歳で社会に出て、自分の個性を活かしながらがんばっている。
実生活では、周りにいい人たちがいるとは限らないし、簡単に職が見つかるわけでもないだろうが、それでも「今いるところから一歩踏み出してみる」と、世界が変わる可能性はある。自分で自分をあきらめなければ、何かが転がり始めるのだ。
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