◆相手がいない登場人物たち

木曜劇場『いちばんすきな花』第2話より ©︎フジテレビ
 ここで『いちばん好きな花』に話題を戻すと、同作が描く愛のテーマが浮き彫りになる。恋愛ドラマもラブソングも基本的には自分の愛を語り、示す対象となる相手の存在を必要とする。

 だが本作の主要登場人物の4人には、肝心の相手がいない。愛を確かめあいたくてもそれができない。松下演じる椿は、婚約者に去られ、傷心の状態にある。

 花屋の花束のように、人と人がすぐにグループ化されることを何より嫌う。それでいて好きな相手とは「昔から二人組にさせてもらえなかった」彼の素直な愛は、物悲しい。