テレビや舞台だけで見る伊藤は、とことんしゃべらない。だがそういえば、芸人界隈から漏れ聞こえてくる伊藤の評判は、まるで逆だった。ウザいほどお笑いに熱い。『M-1』で優勝することしか考えていない。自分は松本人志と発想が同じだ。虚勢とも妄想ともつかない発言で、周囲をドン引きさせているという。
この本の中にいる伊藤は、そのどちらでもない。『M-1』と母親を愛していて、数少ない友達とくだらないケンカをして、何もうまくいかなかった子ども時代を回想して、少年の心のまま37歳になってしまった読書好きの男の独白である。
表題となっている「激ヤバ」は、愛する母親の葬式の際のエピソードだった。伊藤の母親は、息子に対して「ランジャタイのサインが欲しい」と言ってくるような人物だったという。
そう言われて、息子のことをランジャタイと呼ぶお母さんがなんだか面白かった。
「国崎くんは普通にしゃべれる子なの?」
と普通のファンの人みたいなことも言っていて、それも面白かった。
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