なんだ、すげえしゃべってくるな、伊藤って。

 それが、この本を読み始めたときの最初の印象だった。

 現在、テレビでの露出時間に対する発した言葉の量を比率にしたら、もっとも数値の低い、つまりは全然しゃべらないトップ1かもしれないのが、ランジャタイの伊藤幸司だ。黄色いジャージの横にいる黒ずくめのおかっぱ。おかっぱの中は角刈りのときもあれば、短いおかっぱのときもある。暗い目をして、表情は特にない。たまに静かに笑う。そんな伊藤が今年5月に上梓したのが、エッセイ本『激ヤバ』(KADOKAWA)である。

 すげえしゃべってくる。197ページにわたって、目を見てしゃべってくる。文章に、そういう圧がちゃんとある。感情があって、伝えたいことがある子なんだな。改めてそう感じさせる本になっている。