◆社会を作ってきたのは誰なのか

先ほどの男子校ノリも、偏見のひとつ。それから、とおおたさんはつづける。

「一部のエリート高出身者が社会の上層部を占めている、引いては日本社会の性別役割を温存している、という言説も、偏見にすぎないと思っています。私立の男子校が難関校として人気を集めるようになったのは1970年代半ば以降のことで、それまではずっと共学校が最難関大学の合格者を寡占していました。

“男子校エリート一期生”たちはいま60代の半ば。ようやく社会のトップに立とうかというくらいであり、いまの社会は彼らが作ったとはいえません。共学出身者が多ければ男女平等社会が実現するというのなら、日本はとっくにそうなっていないとおかしいですよね。だって、男子校はたった2%、女子校だって6%もなくて、約92%は共学校なんです。だからといって、男子校や女子校を増やせといいたいわけじゃありません」