◆大人も向き合わなければならない
ちょうどいい距離感を考えての、大学生だった。これは授業を担当した教員が考えに考えて出した案なのだそう。つまり、大人も真剣なのだ。
取材をはじめる前から、おおたさんには目算があった。性、ジェンダーに関する授業では、大人の意識が変わっていくはずだと。子どもにどう伝えるのかを考えたとき、大人も自身の意識と向き合わなければならない。
「記事が引き起こしたハレーションも、そのひとつだと思います。子どもたちがこんな授業をしていると知るやいなや、幼稚なところがあぶり出された大人がいる。その人のなかにある思い込みや、気づいてないことが可視化されたってことですよね。だからどんな反応でも、うれしく読みましたよ」
SNSでは、この取り組みを揶揄する投稿に、実際に授業を受けた灘高生が皮肉をまじえて苦言を呈する展開も見られた。結果、投稿した側の幼稚さがさらに際立った。
「男子校×女子大×性教育」の組み合わせから“エロい”妄想をする人が少なからずいたのは、そうしたポルノコンテンツが世にあふれていることの表れだろう。しかし、それ以外にも問題があると、おおたさんは指摘する。
「もともとあった男子校への偏見が、ハレーションを後押したのだと思います。少なくとも、男子校を揶揄するようなコメントを男子校出身者が書くとは考えにくいですよね。ああいうコメントを書いているのは、どんな人なのだろうというところに、私は興味をもちました」
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