2020年6月時点でも全世界で新型コロナウイルスの感染が依然として拡大しており、人類史上まれにみるパンデミックが発生している最中です。映画の世界では、これまでにも感染症やパンデミックをテーマに取り上げた作品が多数あります。そこで今回は、アフターコロナを生き抜く知恵を再検討するために、観ておきたい4本の映画を紹介します。
1『コンテイジョン』(2011年・アメリカ)
『コンテイジョン』は2011年にアメリカで公開されたスリラー映画です。「恐怖は、ウイルスより早く感染する」をキャッチコピーに、致死率の高い感染症の脅威と恐怖に怯える人たちのパニックを描いています。物語は香港で謎の感染症が発生するところからスタート。その後イギリスやアメリカ、日本など香港から帰国した人々が感染症により死亡し、ウイルスは瞬く間に世界中に拡散しパンデミックとなります。
本映画は原因も対処法も不明のウイルスに対して「人間がどのように生き抜くべきなのか」という問いを投げかけてきます。ウイルスの致死率こそ異なるものの世界中がパニックに陥る状況は、まさに2020年の新型コロナウイルスそのものだと言えます。
2『ワールド・ウォーZ』(2013年・アメリカ)
マーク・フォースター監督による2013年のアメリカ映画『ワールド・ウォーZ』は、感染症によって人間がゾンビへと変貌し人類滅亡の危機が迫る……というパニック映画です。主演は名優ブラッド・ピット。原作はマックス・ブルックスが2006年に発表した小説『WORLD WAR Z』です。しかし実写化というほど原作に忠実なわけではありません。
ゾンビが登場すること以外、原作小説と映画は別々の設定で作られています。ゾンビ映画は一般的に、現実ではありえないフィクションとして楽しまれる傾向があります。しかしコロナ禍において、劇中ウイルスの原因究明や感染拡大防止に努める主人公たちの姿は、極めてリアルな描写として観ることができるでしょう。
3『復活の日』(1980年・日本)
深作欣二監督による1980年の映画『復活の日』は、2時間半を超えるSF大作映画として有名です。ロケ地もアメリカ大陸から南極まであり日本映画の中では珍しく壮大なスケールで製作されています。原作は1964年に発表された小松左京による小説『復活の日』です。致死率の高い細菌兵器によってほとんどすべての人類が死滅しわずかに残された生存者たちは南極へと避難して生き延びるすべを模索します。
同映画のパンデミックの背景には、東西冷戦があります。東ドイツから盗み出された新型ウイルスが感染症を引き起こしたのです。すでに冷戦が終結している2020年では、新たに中国とアメリカの間で緊張関係が継続しており、感染症と政治について考えるうえでも必見の映画でしょう。