■逃亡劇なのに、逃亡がヌルイ、ヌルイヨー。

 緊張感を抱いていたのは、冒頭だけでした。いや、冒頭もシェフが寸胴を倒すくだりなどヌルかったんですが。具体的にいろいろ感想を述べていきましょう。

 ドラマの主軸となるのは、二ノことセイジが巻き込まれた殺人事件でしょう。何しろニノですし、実質、主人公です。で、セイジは逃亡者であるからして、逃亡が主な行動になります。野球のドラマで野球選手が主人公だったら、野球がメインになるのと一緒です。だから、逃亡の演出に関しては、これがとりあえずドラマそのものの面白さであるべきだと思うんです。今回は第1話、壮大なサスペンスのプロローグなわけですから。

 しかしまあ、この逃亡劇がヌルいのなんの。

 山下ふ頭で若い男の古いボルボに乗り込むまではいいですが、市内に検問が張られていると、それを難なく突破。パトカー連中とのカーチェイスが始まりますが、みんなどう見ても制限速度内でスキール音を後から足してるだけですし(それは仕方ないけど)、広い十字路のUターンひとつで置いてけぼりにしてしまいます。

 それでもなんとか追いつくと、ボルボは歩道をまたいで「屋上駐車場」への車載エレベーターがある雑居ビルに入っていきました。するとパトカーたちは路肩に停車し、一人残らずエレベーターの前へ。そして「屋上だ! 急げ!」と誰かが叫ぶと、また一人残らず階段で屋上へ上がっていきました。いや、残せ、1人か2人。

 案の定、セイジと若い男は、用意してあったであろうバイク2ケツでブイーンと逃亡。屋上駐車場に集まったボンクラたちの前には、空のボルボがあるだけでした。いや、残せよ、地上に1人か2人。