その第1話は、2023年12月24日の午前0時から7時19分までが描かれました。

 舞台は横浜。暗がりの公園に、2人の男が倒れています。ひとりは頭を撃ち抜かれて死んでいる人。もうひとりは、セイジです。2人の間には1挺のベレッタ。ムックリと起き上がったセイジは、警備員が駆け寄ってくるのを認めると、そこに非通知設定の電話が。いわく「今すぐその場から離れろ、そいつ(遺体)のことはいい、山下ふ頭に来い」。で、ベレッタを拾い上げ、黒いロングコートをはためかせて逃亡者となります。素直に山下ふ頭に向かうセイジ。ちなみに、記憶を失っているようです。

 街角で職務質問に遭いそうになったセイジは、たまたまそこにあった閉店後の洋食屋に避難。すると、そこにはクリスマスイブディナーの仕込みをしようと副料理長の到着を待っていたシェフがいました。セイジは厨房を軽やかに飛び越えて逃げおおせますが、それを追おうとしたシェフが全然軽やかじゃなく厨房を飛び越えようとして、寸胴鍋をひっくり返してしまいました。後に分かるんですが、この寸胴には先代から受け継がれたデミグラスソースがたっぷり入っていました。デミ全滅。聞けばこの洋食屋ではクリスマスディナーにこのデミを使ったビーフシチューを出すのが恒例だそうで、シェフは「デミがないとクリスマスディナーはできない。中止だ」と決断します。なかなか頑固で、こだわりの強そうな人です。

 同じころ、キキョウは撮影クルーを連れて殺人事件現場の公園に。すでに警察の現場検証が始まっていました。横浜の事件なので、神奈川県警の狩宮(松本若菜)が駆け付けると、なぜか警視庁管理官の蜜谷(江口洋介)が、現場で被害者を見ています。警視庁というのは、いわゆる“東京都警察”なので場違いも甚だしいですが、「このヤマを解決したければ俺に情報をすべて流せ」と偉そうです。脇役の江口洋介カッコいいですね。華と陰、醸し出す雰囲気がもう、オーラがもう、ね。

 冒頭はそんな感じで、わりと緊張感を抱いて始まりました。