新社会人の初任給の手取り額は多い!

また前述の法定控除の控除額で頻繁に出てくる「標準報酬月額」とは、耳慣れない言葉だろう。計算しやすいように、賃金額を一定の幅で区切った表にあてはめたもの。おおむね、額面だと考えておけば良いだろう。

さらに、この説明を読みながら、自身の4月分の給与明細書を見て、「あれ?」と感じた新社会人もいるかもしれない。

実は、初任給から控除されるのは、所得税と雇用保険のみで、厚生年金保険や健康保険の保険料は4月分からは差し引かれない。また、住民税は、前年度の所得に対してかけられるものなので、1年目から2年目の5月の給与からは天引きされないのだ。

要するに、新社会人の初任給の手取りは多いということ。来月以降、手取り額が減って、首をかしげないように。さらに、手取り収入が多い時期に積立等を始めて、貯蓄クセをつけておくことも大切だ。

可処分所得は、収入(額面)から法定控除を差し引いた実質的な「手取り収入」

新社会人が注意すべき点がもう一つある。
支給された給与がすべて自由に使えるわけではないということだ。
前述の法定控除から、額面に対して、社会保険料が約15%、税金で約5%を負担しているとすると、おおむね法定控除だけで約20%が差し引かれている。

収入から社会保険料と税金を差し引いたものを「可処分所得」というが、額面から約2割の法定控除を差し引いた額面×8割が実質的な手取り収入(可処分所得)となる。
みなさんが、これから実際に生活していく上で必要な消費支出は、この金額でまかなわなければならない。

さらに、前述の法定控除の保険料率は、定期的に改正されるが、少子化、超高齢社会の現状を考えると、これらの負担が軽くなるとは考えにくいことは周知の事実だろう。新社会人のみなさんには、今後も何度となく眺めることになるであろう給与明細書の中味を、きちんと理解しておいていただきたいと思う今日この頃である。

文・黒田尚子(黒田尚子FPオフィス代表)/ZUU online

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