◆陰湿な同僚につけられたあだ名は「日本書記おばさん」

『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む「紫式部日記」』
『紫式部は今日も憂鬱 令和言葉で読む「紫式部日記」』より(以下同)
 牛車に乗り合わせて「悪ろき人と乗りたり(げ、苦手な人と乗っちゃった)」と思っているのを大げさにアピールしてくる先輩女房もいれば、バリキャリ女房に「日本紀の御局(日本書紀おばさん)」という変なあだ名をつけられることも。

 彼女は一条天皇が『源氏物語』の作者は日本書紀の講義ができるくらい学識があるとほめたことが気に食わず、「漢学の知識をひけらかしてるんですってよ」と殿上人たちに言いふらしていたようです。それを聞いた紫式部は、「いとをかしくぞはべる(マジうける)」と書きます。

 女が物知りだと嫌がられるから、漢字の「一」も書けないふりをしているのに、それでも嫌われる紫式部。実家の侍女たちにも、陰で「あのお方はこんな本ばかり読んでいらっしゃるから幸せが逃げていくのよ。なんで女が漢文なんか読むの?」と言われていたのでした。