文藝春秋から出た『イーロン・マスク』が面白そうだ。

 このところ負のイメージもつき始めたが、楽天の三木谷浩史がイーロン・マスクのことを文春でこう語っている。

「(イーロンは=筆者注)『ベンチャー企業の社会における最大の役割は、国家権力への反逆だ』

だけど、日本は既得権益の塊のような国。自動運転にしても、シェアリングエコノミーにしても、彼が思い描く自由なイノベーションが起こりそうにない。残念ながら、あまり魅力的なマーケットには映らなかったのかもしれませんね」

「彼の頭の中には全く違う『未来』が見えているはず。そもそもイーロンは、Xをメッセージングだけでなく、SNS、金融、電子商取引……あらゆる機能を兼ね備えたスーパーアプリに進化させようとしている。それこそ、Xとテスラのモビリティーを繋げることで、さらなるパラダイムシフトを起こそうとしているのかもしれない。今のままでは終わらないと思いますよ」

「イーロンのビジネスを見てると、実感することが一つあります。それは、徹底した『スーパーアマチュア』であること。彼の事業のほぼ全てが、素人の視点から『こうすればいいじゃん』と考えた発想で、業界の常識に斬り込んでいます。

 テスラにしても、彼は自動車のスペシャリストではありませんでした。だからこそ、『3000個の電池を繋げれば、とても速い電気自動車が作れる』と突拍子もないことを言い始める。その発想に対し、専門的な視点から『できない理由』をいつも挙げられたかもしれない。だけど、誰も見たことのない『未来』を作り出すには、『できない理由』を横に置いて、物事の本質だけを見据えるシンプルな見方が欠かせない」

 これは読んでみるしかなさそうだ。