◆障害のある子を育てる現実を、真正面から岡村に突きつけた
性被害に遭いそうな娘を助けた次には、決して悪いことをしていないにもかかわらず周囲に頭を下げ続け、暴走した友子へ必死に寄り添い落ち着かせようとする両親。有紗との結婚を意識していた岡村にとって、そんな彼らの様子は、結婚という決断を揺るがすものになったのではないか。
「有紗が友子のように暴れてしまったらどうしよう」「自分は周囲の人たちに頭を下げられるのか」という自問自答をしていたかもしれない。
また、“障害は遺伝する”という説も多く提唱されている。有紗と結婚して子どもが生まれ、その子どもが障害を持っていた場合、友子の両親のように対応できるのか、ということも頭に浮かんでいた可能性も低くない。障害のある有紗と一緒にいる、障害児を育てるといったことの現実を真正面から岡村に突きつけるストーリーだった。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki