ちなみに僕も芸人時代に大遅刻をしたことがあった。それはまだ芸人になって1~2年しか経っていない超若手芸人の頃、あの小堺一機さんと松尾伴内さんがMCを務めるネタ番組の収録が決定したのだ。当時、ほとんどテレビに出たことが無かった僕は興奮と緊張でなかなか眠りにつけず、ようやく寝付いたのは明け方。そして気が付いたら入り時間になっていたのだ。その番組はフジテレビの番組で収録はお台場。当時神奈川に住んでいた僕はお台場までどう頑張っても2時間はかかる。完全にアウト。半泣きになりながらマネージャーさんに連絡をし、電車ではなく、タクシーで向かうことになった。

 移動中生きた心地がせず、終始パニックになっていた僕はすごくお喋りなタクシー運転手さんの会話を全て上の空でなんとかお台場フジテレビに到着。お金を払い「ありがとうございました」も早々に控室へ向かった。その日は他にも多くの若手芸人が出演する特番だったので、大部屋が控室になっていたのだが、他の芸人はみんなスタジオへ入っている時間。誰もいない大部屋に向かうか、それとも直接スタジオに向かうか迷ったが、とりあえず控室を選択し、全力で走った。控室を開けるとスタジオにいるはずの芸人たちが、わんさかいるではないか。

 どうやら技術リハーサルが押してしまい、1時間半ほど待ちぼうけを食らっていたのだ。つまり2時間遅刻した僕が一番ちょうど良い時間帯で到着したということになった。運が味方した瞬間。マネージャーさんからはこっぴどく怒られたが番組に迷惑をかけることはなかった。

 ちなみに相方の与座も普段は遅刻しないが、するときは大きな遅刻をするタイプで、一度とんでもない遅刻をやらかした。埼玉で当時所属していたマセキ芸能社の芸人が数組出るイベントがあり、僕たちも出演することになっていた。出番は30分2ステージ。まもなくステージが始まるというのに与座の姿はなく、まったく連絡も取れない。当時担当していたマネージャーさんは顔が青ざめながらひたすら与座に電話をかけていた。