というわけで、今週の第1位は、“ドリル”の異名をとる小渕優子について報じた文春に上げたい。新選対委員長に抜擢されたが、脇の甘さは相変わらずのようで、これからも週刊誌の格好の餌食になりそうな“人材”である。
それにしても秘書というのは哀しいものである。親父(女性の場合もあるが)のために仕え、耐えがたきを耐えるが、運転中に女ボスから「ハゲ~!」と大声で怒鳴られ、後ろから蹴りを入れられても耐える。自分のミスではないのに、口答えすると殴られる。パワハラなど秘書の世界は朝の挨拶と同じだ。収賄罪まで行かなくても、政治資金規正法ぐらいでも、議員は「秘書が、秘書が」と責任を擦り付け、有罪になるケースは枚挙に暇がない。
私は、秘書といえば竹下登元首相の秘書の青木伊平を思い出す。竹下の「金庫番」と呼ばれた。汚いことは自分が被って、死んでも親父を守るという昔堅気の秘書だった。青木の支えがあった竹下は首相に上り詰めたが、リクルート事件が起こる。竹下はリクルートから1億5100万円をもらっていたことを公表した。だが、それとは別に5000万をもらっていたことが新聞でスクープされてしまった。
竹下は青木を厳しく叱責し、自身の退陣を発表する。その後、青木が自宅で自殺しているのが発見された。だが、その死には不可解な点も多くあり、他殺説も囁かれたが、いまだに真相は闇の中である。それ以前に、田中角栄元首相がロッキード事件で捜査を受けている中、秘書兼運転手の笠原政則が自殺している。中には、ヤツが首相のときに裏でおぜん立てしたのは俺だと、秘書時代のことを切り売りして生き延びている人間もいることはいるが、多くは使い捨てである。
だが、自分が延命するために罪を被ってくれた秘書を、そのままほっぽり出せば、不都合なことをいわれないとも限らない。したがって、その後の生活の保障をしてやり、口止めしているケースはいくらもあった。
今回の小渕優子の不可解なカネの流れは、そうしたことではないかと読めるのだが、なぜ、ポケットマネーから出さずに、政治資金などから面倒な手続きをして渡さなくてはいけないのか。よっぽど小渕という女性はケチなのか? それともほかに事情があるのだろうか。
これを読む限り、小渕という政治家は信頼に足る人間ではなさそうだ。