ぼくも過去に経験があるが、自分では平気だと思っていても突然気持ちがローに入ってしまったり、さっきまでやる気があったのに、突然何もやれない状態になってしまったり。「頑張りたいけど頑張れない」という状態で、決してやる気が無いわけではないのだ。しかもいつそれが起こるかわからない。なのでテレビ収録や劇場の出番を入れてしまうと大勢に迷惑をかけてしまう可能性が高い。それを考慮して「ちょっとずつ再開」という形をとるのだろう。
そしてもうひとつ「ちょっとずつ再開」する理由として考えられるのは「ブランク」だ。ゆめっちさんは1年以上芸能活動を休んでいたことになり、ブランクがあると言える。たった1年と思う人もいるかもしれないが、芸能界の1年は相当なものだ。しかもゆめっちさんくらい第一線で活躍していた芸人となると、スタッフから期待されていること、視聴者が望んでいることは相当高い次元の要求であり、現役当時でも簡単にこなせることではなかったと思う。
それが1年も休んでいる状態だとその要求に答えるのは至難の業だ。ボケの引き出しやパターンは頭で覚えているかもしれないが、それを最高の状態で供給するタイミングや、空気感を読む間などの“感覚的”な部分は間違いなく衰えているだろう。これはゆめっちさんに限らず、ブランクがあって復活した芸能人全般に言えることだ。ましてやテレビにはテレビならではの独特な法則や手法があり、今YouTubeなどで活躍している芸人だとしても、テレビに出演した際に「ん?なんか違う?」と感じる事がある。テレビで活躍するにはテレビでしか得られないものを体得するしかないのだ。
この「ブランク」がやっかいなのは、本人的に出来ていると思っても、客観視したときにズレが生じている場合がある。しかも芸人の場合、“笑い”という形ですぐに評価されるため、否が応でもそのズレを思い知らされるのだ。