軍事独裁政権下のチリで乳児連れ去り、欧米で養子に…組織的な人身売買の実態の画像1

 軍事独裁政権下で生まれたばかりの乳児が病院からさらわれ、勝手に養子にされていた。役人や医師、裁判官らが共謀し、欧米に送られた。9月11日、南米チリではピノチェト将軍による軍事クーデターから50年を迎えた。米国が支援した独裁政権下では乳児の連れ去りが組織的に行われた。チリでは軍政に反対する多くの市民が逮捕され、処刑、拷問の犠牲となったが、軍政の闇は乳児にものしかかっていた。

 チリでは1970年、民主的な選挙によってアジェンデ大統領率いる左翼政権が誕生した。最大産業である銅採掘の国有化や土地制度の見直しなど、強固な社会主義政策が導入された。このため左右両派の政治的対立が先鋭化し、経済は混乱した。