ファンの不安から生まれた、アイドルへの“福利厚生”

佐野:キャリア支援や人材育成などの専門家の目から見ても、『アイドル3.0 プロジェクト』は、アイドルグループとしてメンバーへの“福利厚生”の手厚さが特徴的です。退職学®︎の観点からも、アイドル卒業後のセカンドキャリア支援を大きく掲げている点に注目しています。そもそも、なぜアイドルグループを立ち上げる前から、そういったサポート面に着目したのでしょうか。

佐藤:アイドルファンとしての想いですね。先ほど「アイドル業界にはいろいろな“課題”がある」と言いましたが、アイドルを推していると、自分の推しが安心してアイドル活動をできていないのではないかと、運営サイドに対して憤りを覚えることも多々あるんです。「本当は活動がつらいんじゃないか」と思いながら推しを推すのは、ファンも不安なんですよ。

 だからこそ、健全なアイドル活動のためには、運営サイドがメンバーのサポートをしっかりしなくちゃいけない。我々は、仮想通貨で得た潤沢な資金で、そういった面をカバーできればな、と思ったのです。

:先に申し上げた通り、私は複数の乃木坂46メンバーと関わらせていただいてきたのですが、彼女たちは現役で大活躍しているときでも、卒業後の進路について常に頭の片隅で考えているようでした。

 現状、アイドルは何十年も続けていける仕事ではないので、現役のときからセカンドキャリアへの不安を抱えて活動せざるを得ない。そういった不安を、私たちの金融の知識と経験を生かして解消したいという気持ちがありました。

佐藤:また、アイドルは10代から20代前半という、一般の学生が社会に出ていくための準備期間に芸能活動をします。だから、いざグループを卒業し芸能界からも引退するようなケースでは、一般企業に入るのはなかなか難しいんですよね。そこで我々は、希望するメンバーに対しては、一般教養やPCスキルの習得など受けられよう、セカンドキャリアへのサポートをしようと考えています。

 一般企業への就職はもちろんのこと、アイドル活動を経た上で、美容師やヘアメイクになりたい、という意志を持ったメンバーがいれば、それらもできる限り支援していくつもりです。

:『アイドル3.0 プロジェクト』は世界で活躍するアイドルを目指しているので、そのためにも英語、韓国語、中国語など、希望する語学のレッスンを必須で受けてもらう予定です。こうしたレッスン費などもやはり、NIDTで集めた資金でまかないます。

佐野:卒業後の進路の可能性も提示することで、安心してアイドル活動に打ち込めるんですね。

:そうですね。なお『アイドル3.0 プロジェクト』では、一定期間活動したメンバーへの退職金制度も設けており、NIDTでお支払いする予定です。ファンのみなさんの投資がメンバーに還元される仕組みをとっています。