私は、竹中平蔵という人間が大嫌いである。大量の非正規労働者を生み出した元凶ということもあるが、この人間の全てがうさん臭く、信用ならない。サンデー毎日が田原総一朗を担ぎ出して、竹中インタビューをやっているのだが、これまた酷いものである。

 例えば、

田原 非正規増やした。

竹中 非正規雇用には増えた背景がある。1979年の東京高裁判決で、整理解雇の4要件が示され、事実上正規雇用は首にできないとなった。経営側から見ると人件費は固定費になる。そんな経営ができるわけないから、その判例が当てはまらないような範疇の雇用形態を作らざるを得なくなった。それが非正規だ。

田原 90年以降急増した。

竹中 世界の経済変動が大きくなり、企業がそんな固定費を持てなくなった。 

小泉政権でやったのはただ一つ、労働者派遣法の対象業務として製造業を解禁した。私がやったというが、坂口力厚労相がやった。私にそんな権限ないですから。

田原 あなたの発想では?

竹中 私はもちろん賛成だったが、あの時内閣で反対した人はいません。閣議決定は全会一致ですから。もう一つ、パソナがもうけたというが、パソナは製造業の派遣は一切やっていない。

 このやり取りは、何度も何度も繰り返されてきた。竹中の言い分は決まっているのだから、インタビューする側は、そうきたら、そこにどう切り込むかが問われるのに、何もない。ただ竹中の言い分を聞くだけ。お粗末なものだ。その上、マイナカードの宣伝係のような発言を引き出している。

田原 金融政策以外ではズバリ岸田氏に何を提言する?

竹中 まずはデジタル化だ。マイナンバーをしっかりやらなければいけない。紐付けミスへの批判はあるが、あのくらいの人為ミスは誤差の範囲内だ。システムを変える時100%なんてありえない。マイナを使って、国税庁と年金機構を一緒にしてデジタル歳入庁にすればいい。税金や保険料をどう払っていて、どの程度の社会保障を受給しているかが個人で全部わかるようになる。政府の仕事に明確なイメージが持てる。しかも行政改革になる。

 竹中に“論破”された田原は、インタビュー後にこんな感想を書いている。

「竹中氏の説明能力の高さと政策アイデアの豊富さは相変わらず、との印象だ。一連の批判に対してもただちに倍返しの反論が返ってくる。異次元緩和の2年撤退論、分配政策の根本的見直し論もそれなりの説得力がある。小泉、安倍、菅の歴代3首相がこの人を手放さなかったのもわかる気がするが、岸田政権とはどうなるか。いずれにせよ、この20年の経済政策は、竹中ファクター分析が肝要だ。その感を改めて深くした」

 全面降伏である。「田原衰えたり」の感を一層深めた。