また、自らの安全は自らが守るとして、銃などの武器の携帯の自由化を目指す。さらに家族制度の崩壊の原因になっているとして、学校での性教育の義務化を撤廃するとしている。
ミレイ氏は1970年10月、バス運転手の息子としてブエノスアイレスに生まれた。過激な物言いは少年時代からで、高校では「常軌を逸した人」というニックネームが付いていたという。大学では経済学などを学び、年金会社などのエコノミストとして働いた。大手銀行HSBCでもシニアエコノミストを務め、政府機関の首席エコノミストの任務についたこともある。
社会の注目を集めだしたのは2010年以降で、エコノミストとしてインタビューを受けてメディアに度々登場したほか、ラジオの司会者としてアルゼンチン社会を鋭く批判した。左右関係なく既存政治にノーを突き付けた上に、ペソのドルへの置き換えという斬新な構想が、若い層やアルゼンチンの政治にうんざりしている労働者層などに受け入れられた。2021年に「自由前進」を結成し、下院議員に当選した。今回の大統領選では第三極として動向が注目されたが、急速に支持を広げた。
アルゼンチンは年率で100%を超えるインフレに直面しているほか、干ばつによって主力の大豆やトウモロコシの生産が大幅に落ち込んでいる。通貨安で輸入品価格は跳ね上がり、国民生活は困窮している。経済への国民の不満が、過激な政治家への支持につながっているが、アルゼンチンの場合、さらに奥が深い。
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