「臓器売買市場の創設」「中央銀行の廃止」「自国通貨のドル化」「銃所持の合法化」「性教育の撤廃」――。驚きの公約を掲げる大統領がアルゼンチンに誕生するかもしれない。

 10月に大統領選が行われるアルゼンチンでは、選挙戦の只中だが、極右のリバタリアン(自由至上主義者)であるハビエル・ミレイ下院議員(52)がフロントランナーとして走っている。深刻なインフレに見舞われ通貨危機に陥るアルゼンチンは穀物の世界的産地でもあり、過激な大統領候補の言動は早くも世界経済を揺るがしている。

 ミレイ氏のニックネームは「かつら」。整髪とは無縁なボサボサのヘアスタイルから名付けられた。新興勢力である右派の政党連合「自由前進」から立候補し、8月13日に実施された予備選では約30%の票を獲得し、約28%を得票した野党連合のパトリシア・ブルリッチ元治安相(67)、約27%を得票した与党連合のセルヒオ・マサ経済相(51)の既存政党出身の有力候補2人を抑えてトップになった。