アルゼンチンの予備選は、各党派内で本選に進む候補を決めるためのものだが、「本選のリハーサル」とも言われる。18~70歳の有権者に投票義務が課せられ、結果は大規模な世論調査として国民にとらえられている。本選を占う大きな指標だ。

 ミレイ氏トップは衝撃だった。結果を受けて、アルゼンチンの中央銀行は翌日14日、通貨ペソを対ドルで約20%切り下げた。ミレイ氏が大統領になれば通貨が切り下げられるとの見方が国内外に広がることに対応した措置だ。同日の米国の株式市場ではアルゼンチン関連株の上場投資信託(ETF)が約3%も下落した。外国為替市場ではペソの下落が加速し、15日には8%ほどのペソ安となった。大統領が決まった訳でもないのに、予備選の結果だけでマーケットは激震に見舞われた。

 ミレイ氏の過激な公約が要因である。通貨危機に陥る自国通貨ペソに国民さえも目を向けなくなっていることから、ミレイ氏は通貨をドルに置き換えることを主張している。これに伴い中央銀行を廃止するとしている。

 国家資産をすべて売却するほか、医療制度を含めて広い範囲で民間化する。年金支給額も大幅に削減する。移植するための臓器が不足し、必要な患者に臓器が届かない現状を変えるため臓器を売買する市場の創設する考えだ。