◆若い世代のがん患者が「孤立しやすい」理由
――AYA世代は、なぜ15歳から39歳とされているのでしょうか?
清水千佳子先生(以下、清水):15歳未満の小児や高齢のがん患者に比べて、医療費の助成や生活面に対しての行政の支援が少ないという点から、この年齢で区切っています。15歳までは保険診療の自己負担分がほぼ公費でまかなわれますし、40歳以上は生活で介護が必要な時は介護保険を申請することができるのですが、この間の世代は支援が手薄なのです。
――なぜAYA世代のがんに注意する必要があるのでしょうか?
清水:「がんはお年寄りがなる病気」と思っている若い人は多いかもしれないのですが、AYA世代の人が亡くなる原因として、事故や自殺以外で、病気として最も多いのががんです。毎年約2万人のAYA世代の方ががんを発症しています。1年間でがんを発症する人100人のうちAYA世代は2人程度の割合です。
若い人ががんを過剰に気にする必要はありませんが、上の世代に比べてがんになる人が少ないからこそ「AYA世代もがんになることがある」と知っておいてほしいと思っています。
がんになることはただでさえ苦しく様々な困難を抱えやすいのですが、若い人はがん患者が少ないために孤立しやすく、周囲の人もそのつらさをなかなか理解するのが難しいのです。
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