◆決定的なことが起きない人生で
ジェーン・スー:この本を読み終わった方が「この人たちは、自分とは違う」とだけ思われたのだとしたら、それは私の筆の力が至らなかったのだと思います。と同時に、もし「自分とは違う」と感じたのなら、自分の何によってそう思うのか深堀りして考えてほしいなと思います。「どうせ自分なんか」と思うことは、性別、年代問わず多くの人が経験していますよね。私もそうでしたし、それによって自分のいろんなことが妨げられてもきました。だけどそれが一瞬で取り払われるような、ババーンッ!という決定的な何かって人生にはまず起きないんですよ。13人のみなさんにも、なかった。最初からすべてがお膳立てされていたなんてこともなく、ままならない社会で理不尽なことがあっても腐らず、目の前のことにコツコツ取り組むことで、自身を貫いてこられたんだと思います。私も、もっと早くに自分を信用してあげればよかったな。そんな自分を信用するきっかけを、この本から見つけてもらえたらうれしいです。
<文/三浦ゆえ 撮影/宮田浩史>
【三浦ゆえ】
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。