助成されるお金は? その3:その他

(写真=karen roach/Shutterstock.com)

高額療養費

「高額療養費制度」は健康保険制度の一つで、同じ月(1日~月末)にかかった入院・通院・手術などの医療費の自己負担額が高額になった場合に、「自己負担限度額」を超えた分が後で払い戻されるというものです。 

出産は健康保険の対象外ですので、いわゆる「自然分娩」は高額療養費の対象にはなりません。しかし、帝王切開や吸引分娩、鉗子分娩などでかかった医療費は健康保険の対象となり、高額療養費の制度が利用できるというわけです。

例えば、70歳未満で年収目安が約370万~770万円である人の場合、健康保険適用外の費用を除いた1カ月の医療費に100万円かかったとすると、3割負担でも30万円です。けれども、この制度を使えば高額療養費が支給され、自己負担額は9万円弱まで抑えられることに。この差はかなり大きいですよね。

多くの場合、高額療養費制度を利用するには申請が必要です。申請書は加入している健康保険組合から入手できますので、必要事項を記入したら領収書などを含めた必要書類とともに提出しましょう。

ただし、特定の共済組合などでは申請・手続き不要で支給されることもありますので、勤め先や加入先に、申請方法や手続きについて確認しておくとよいでしょう。

医療費控除

「医療費控除」は、1年間(1月1日~12月31日)の医療費合計額が10万円(所得が200万円未満なら総所得金額等の5%)を超えた場合、確定申告することで税金が軽減される制度で、妊娠・出産にかかった費用も対象となります。 

ただ、どのようなケースでも40万円以上が健康保険組合から支給される出産育児一時金は、医療費控除額を計算する際に医療費から差し引かねばなりません。そうなると、医療費控除が適用される金額には届かないのでは? と思われる方も多いかもしれませんね。

けれども医療費控除は、妊婦健診や検査、分娩入院、産後の健診などの費用だけでなく、妊娠・出産にかかわる交通費(タクシー代)や、条件を満たせば治療目的の母乳マッサージなども対象になります。

また、生計が同一となる家族の分をまとめて申告できますので、普段よりは医療費控除が使える可能性は高くなるはず。レシートや領収書はまとめて保存し、妊婦健診のために使った交通手段などもメモしておきましょう。

安心して出産を迎えよう

(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

妊娠・出産・育児に関してはさまざまな助成金があり、自己負担額もかなり抑えられることが分かりました。ただ、注意していただきたいのは、これら制度の大半は自分から申請する必要があることです。

つわりをはじめ、妊娠期間中は体調を崩すことも少なくありません。助成金についてあちこち調べるのもおっくうになってしまうかもしれませんが、知らないままではもらい損なってしまう可能性も。

妊娠を考えているなら、安心して妊活するためにもぜひ事前に知っておいてくださいね。

文・深川美幸(ファイナンシャル・プランナー)/DAILY ANDS

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