地域によっても変わる出産にまつわるお金

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先ほど、出産する産院の形態によっても費用は変わると言いましたが、実は分娩入院にかかる費用は地域によっても差があるのです。

前出の「出産・育児に関する実態調査2016」によると関東が最も高く46.6万円、最も低いのは中四国で39.7万円と、6.9万円の差があります。  

さらに都道府県別の平均費用を、国民健康保険中央会が発表した「出産費用の都道府県別平均値 平成27年度」で見てみると、正常分娩での平均的な平均出産費用は

  • もっとも高いのが東京都で60万9189円
  • もっとも安いのが鳥取県で39万4087円 なんと21万円ほどの差があります。全体的に都会のほうが高額になる傾向があり、地域によっては里帰り出産したほうが費用を抑えられる、ということもありそうです。

    助成されるお金 その1:妊娠~出産時

(写真=Maxim Krivonos/Shutterstock.com)

妊婦健診受診票

出産するまでの妊娠期間中には「妊婦健診」が義務づけられています。検診回数は妊娠初期が月1回程度、臨月になると週1回、合計で14回ほど受診することになります。

健診費用も健康保険が適用されないため、1回3000~5000円ほどが自費でかかります。さらに、特別な検査を受ける場合には1万円ほどかかる場合もあり、合計で10万~15万円程かかる計算になるのです。

しかし、母子手帳をもらう際に一緒に配布された「妊婦健診受診票」を使うことで、この費用がグンと抑えられます。枚数や健診内容、補助額は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体で確認しておきましょう。
※一般的に「妊婦健診の補助券」と言われるもので、名称は自治体により異なります。

出産手当金

健康保険に自分で加入している会社員であれば「出産手当金」が受給できます。

「出産手当金」とは、出産前42日(多胎妊娠なら98日)と出産後56日を合わせた合計98日間(多胎妊娠なら154日)の「産前産後休業期間」に、給与の代わりとして受け取れるお金のことです。健康保険に1年以上加入している人が対象で、給与(ボーナスなどの賞与を含む)の2/3程度の金額が健康保険から支給されます。

出産育児一時金

子どもがうまれたら「出産育児一時金」が42万円支給されます。どの健康保険に加入していても金額は一律で変わりませんが、出産した医療機関が産科医療補償制度に加入していない場合は減額され、40万4000円の支給になります。 

金額は1児につき42万円で、双子などの多胎出産だった場合は42万円×人数分です。また、この制度では「妊娠4カ月(85日)以上の出産であること」との支給要件が設けられています。妊娠期間が4カ月以上であれば、万が一、流産・死産となってしまった場合でも出産育児一時金を申請できる制度ということです。

 申請は、妊婦自身が勤務先で健康保険に加入している場合は自分の勤務先に、夫の扶養に入っている場合は夫の勤務先の担当者へ伝えて手続きをしてもらいます。現在は退職していても、退職日前日までに1年以上健康保険に加入していて退職後6カ月以内の出産であれば、以前加入していた健康保険組合に出産育児一時金を請求できます。念のため、退職前に勤務先の担当者に確認しておくとよいでしょう。