◆4年前、魂の授業を思い出す『最高の教師』

画像:日本テレビ『最高の教師』公式サイトより
ニュースを見れば、SNSを覗けば、触れるのもためらわれるような悲しくつらい事件や言葉で溢れている。似たような報道を見かけるたび「またか」と思ってしまう自分のことさえ、嫌いになってしまうような。

そんなとき、約4年前の2019年に放送されていたドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』を思い出す。菅田将暉演じる美術教師・柊一颯が、教え子30名を人質に監禁事件を起こした、その顛末を描いたドラマだ。

この『3年A組』のスタッフが再結集した『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は、かつて柊が命を賭けて伝えようとした“たった一つのメッセージ”を思い出させる。言葉が凶器となり、人を傷つけ、その果てに命を奪うような事態に繋がりかねないこと。

4年の時を経て、松岡茉優演じる高校教師・九条里奈が淡々と、生徒たちを諭す。それは、4年を経て再びおこなわれる“魂の授業”だ。

かつて柊は言った。「自分の言葉と行動に責任を持て」と。そして九条は言っている。「なぜ顔と声を出して意見しないのか」と。双方のメッセージは矛盾しているようにも見えるが、彼らが伝えたいことの芯にあるのは“責任”そして“主体性”のように思える。

残念ながら、私たちは繰り返してしまっている。4年前に受けた教えは、まったく生かされていない。『最高の教師』は、その事実を知り、どこまでも打ちのめされ、そして、またここから始めていくための物語だ。