さらに、オラウィ氏は「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保し、謝罪であれ金銭的な補償であれ、被害者の実効的救済を確保する必要性がある」とし、ジャニーズ事務所による被害者への謝罪と金銭的補償に言及。しかも、それを政府が指導するべきという、いち芸能事務所への対応としては異例の見解を示した。言い換えれば、それだけ作業部会が性加害問題を深刻かつ悪質だととらえているということだろう。作業部会は今後も調査を進め、2024年6月に国連人権理事会に報告書を提出する予定だという。

 被害を訴える人の中には、約70年前に被害を受けたと告白しているケースもあり、それだけ昔からジャニー氏が性加害を繰り返していたのだとすれば、作業部会が報告した「数百人」という数字も現実味がある。もしジャニーズ事務所が政府の指導によって金銭的補償を迫られた場合、数百人が被害者として名乗り出れば、補償金の合計はどんなに少なく見積もっても億単位。数十億円レベルに達することも十分に考えられ、一部では100億円を超えるとの推測まである。いくらジャニーズ事務所が大手プロダクションだといっても、そうなれば経営が傾きかねない。

 ただ、加害者とされるジャニー氏が故人であることもあって法的拘束力はないとの見方もある。実際、作業部会の「政府が主体となって被害者を救済するべき」という声明について、松野博一官房長官は7日の記者会見で「法的拘束力を有するものではない」との認識を示した。今のところ政府が動く可能性は少ないが、「政府が主な義務を担う主体として透明な捜査を確保」すべきと指摘される中でのこの発言にネット上で批判が集まっており、今後の世論によって事態が急変することも考えられる。

 この性加害問題の影響を大きく受けそうなのが、デビュー目前とみられていたジャニーズJr.の有力グループたちだ。