前者に関しては、レコード会社から「アーティストに特段の意図はない」と釈明があったものの、意図がなかったこと自体が記憶の風化を表しているようにも思える。

その一方で後者の場合は、日本の識者からも「全体の文脈の中で読むと、原爆投下や戦争を賛成する内容ではなく、登場人物の性格を表しているようだ。セリフの一言だけを切り取って問題にしてしまうと、原爆について表現することを萎縮させることにもなりかねない」と擁護の声も上がっている。

北朝鮮情勢や米中対立など、核戦争の脅威は相変わらず消えていないにもかかわらず、原爆がいまだ「未曾有の破壊力を象徴するポップなアイコン」のままであることが印象づけられる。しかし、今の時代は古賀さんのようにインターネットから発信する手段もある。

大国の都合に振り回される世界情勢は、冷戦の頃から何ら変わらないが、日本が戦争による唯一の被爆国であることも変わらないのだ。