メキシコのホラー映画『イビルアイ』が7月27日より公開中。本作は“定番”と言える恐ろしさがありながら、後述する監督の作家性を生かしたツイストの効いた展開も大きな見どころとなっていた。その魅力を記していこう。
ホラーとして定番の“型”がある
都会に住む13歳の少女ナラは、奇妙な病気にかかった妹の療養のため、家族とともに田舎の祖母の家へとやってくる。威圧的な態度でいる年老いた祖母に不快感を覚えるナラは、とある恐ろしい昔話を耳にするのだが……。
幼いきょうだいが祖母へ「恐ろしい存在なのではないか」と疑惑を深めていく様はM・ナイト・シャマラン監督の『ヴィジット』を連想させる。しかも、両親は祖母のことを信頼し切っていて、娘の主張を聞き入れないどころか娘2人を置いて行ってしまうし、妹の容体は悪くなる一方で、親切で普通の人に思えていた家政婦のカップルにもとある悲劇が起きてしまう。
そのようにして、「もう誰も信用できない」「自分(たち)でなんとかするしかない」状況に追い込まれるのは、やはりホラー映画の定番。本作は子どもが主人公であるからこそ、状況はより切実だ。そんなジュブナイルホラー、もっと限定的に言えば「おばあちゃんが怖い系ホラー」として、わかりやすい“型”がある内容なのだ。
また、劇中の表向きには子どもを怖がらせるためのおとぎ話が、その土地に根付く異常な価値観を浮かび上がらせていくという、「土着信仰ホラー」としての型も備えている。さらに、公式に「セレモニー・スリラー」とも銘打たれており、まさに“儀式”が行われるシーンで『ミッドサマー』も思い出す方もいるだろう。
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