山本「グローバル化が進み、日本社会の転換期にあたる時代に起きた事件だったんじゃないでしょうか。当時の六本木には、ITバブルで潤っていた人たちが群がっていました。お金さえあれば何でもできるという風潮が強かった。また、1990年代後半からゼロ年代は、凶悪犯罪が多発した時代でもありました。日本社会の闇に、ルーシーさんは呑み込まれてしまったと言えるかもしれません。捜査官たちは生前のルーシーさんと面識があったわけではありませんが、7月になるとルーシーさんを偲んで線香を灯すそうです。ルーシーさんの遺体が見つかった三浦半島の洞窟まで、毎年2月に供養に向かう捜査官たちもいます。そうしたところも含め、日本で起きた事件なんだなと感じさせますね」
ルーシーさんが亡くなって23年の歳月が経つ。だが、性犯罪の被害者が加害者を訴えにくく、被害者数が水面下で増え続けるという状況は当時から変わっていない。ルーシー・ブラックマン事件が日本社会に残した問題点は、今も残されたままとなっている。
Netflixドキュメンタリー『警視庁捜査第一課 ルーシー・ブラックマン事件』
原案/髙尾昌司 監督/山本兵衛
7月26日(水)よりNetflixにて独占配信
netflix.com/title/81452288
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