この夏から、マルイのエポスカードで「つみたてNISA」を使った積み立て投資ができるようになります。そうです、あのファッションビルのマルイが展開するクレジットカードです。店舗では、初心者向けの投資セミナーも開催されるそうですよ。

マルイが証券事業に参入? 頭の中に「?」が思い浮かびそうになりますが、聞いてみると「なるほど」と納得できる理由がありました。記者発表されたばかりの内容を詳しくリポートします。

「投資のやりかたがわからない」を解決

(写真=筆者撮影)

5月10日に行われた2018年3月期決算発表の席で、丸井グループの証券事業への参入が正式発表されました。

「私たちは、これまでごく一部の富裕層向けに提供されてきた金融サービスを、収入や年代に関わりなく、すべての人に提供します。その第一弾として、昨年から在日外国人や留学生向けのクレジットカードの発行をスタートしていますが、この夏、本命ともいうべき 事業に参入いたします」と、丸井グループ代表取締役社長の青井浩さん(以下、カッコ内はすべて青井社長の発言)。

証券事業参入の背景は「若者の将来不安」です。
 

(写真=筆者撮影)

「調査では6割近くの若者がお金の不安を抱えています。貯蓄や節約などには取り組んでいますが、投資による資産形成は『やりかたがわからない、怖い』といった理由で、進んでいません」

こうした課題の解決を目指す新事業とは、マルイの「エポスカード」によるクレジット払いで「つみたてNISA」ができるサービス。クレジットカードで投資信託が購入できるのは、日本で初めての試みです。

目指すは「資産残高1兆円、利用者100万人」

「私たちは、月々の分割払いで購入していただく『月賦(げっぷ)販売』でビジネスをしてきました。若いお客様にもカードを発行して、分割払いでも購入いただくという意味での若者向けの金融を提供してきたという自負があります」

マルイといえば「赤いカード」の愛称で親しまれたクレジットカード「マルイカード」。いわゆる「DCブランド」の流行とともに、1980年のバブル期に一世を風靡した赤いカードは事業譲受され、2006年に「エポスカード」と名前が変わっています。現在も、エポスカード利用者の55%が30歳未満と、ユーザーは若者中心です。

「これまでクレジットカードを通じて提供してきた金融サービスというものを、もっと広げたいと思っていました。何ができるだろうという中で、若者が抱えている将来への不安に対して何かできないか、それなら資産形成がいいのではないかという結論に至りました」

新証券会社は、まず「つみたてNISA」に特化。10年後には資産残高1兆円、利用者100万人を目指すといいます。