監督・脚本は、なるせゆうせい。昨年6月に公開された、消費税をテーマにした社会派青春映画『君たちはまだ長いトンネルの中』を手がけ話題となった。
原作は行政書士で社会学者の近藤秀将の著書『アインが見た、蒼い空。:あなたの知らないベトナム技能実習生の物語』。映画ではベトナム人でなく、フィリピン国籍のモデルで今回初めて演技に臨んだナターシャが主人公役を熱演した。劇中、主人公の名前も「アイン」から「ハイン」に改められた。
貧しい家族を支えるために東南アジアの某発展途上国から「技能実習生」として日本にやってきたハイン。ジャパニーズドリームを夢見て工場で働き始めるも、給与の未払いなど夢見ていた状況とは真逆の不遇が続く。青年海外協力隊の一員としてハインの母国に来ていた青年に付き添われ、無料で相談に乗るという行政書士の事務所の門を叩くが、出迎えたのは一癖も二癖もありそうな食わせ者の行政書士と、その部下の真面目だけが取り柄の若い行政書士。そこにおバカな二世議員に、技能実習生を管理する監理団体の職員といった人たちが入り、話が二転三転する。
ハインが空港に到着し、車に乗せられて以後、登場する舞台は彼女が相談に行く行政書士の事務所のみ。当のハインをよそに、それぞれの登場人物が自らの持論を述べるマシンガン・トークの応酬となるが話は全く噛み合わない。ただ、激しい言葉のやりとりを聞いているだけで、「技能実習制度」についての予備知識がなくとも、制度とその矛盾点が分かる作りとなっている。
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