制度を作った時の崇高な理想はともかく、今、「技能実習制度」と聞いて、それが「貧しい途上国から来た若者が日本で働きながら技術を習得し、それを母国に持ち帰り、母国の発展のために寄与する仕組み」と言っても額面通りに受け取る人は少ない。

「実習」とは名ばかりで、実際は中小企業などの人材不足の悩みを解消し、しかもネックの人件費を抑えることができる便利なシステムであることはみな、腹の底では分かっている。それでも、表向きは、貧しい国からやってきた若者たちに素晴らしい日本の技術を学んでもらい、後に母国でその技術を広めるための「国際貢献」であるふりをする。この矛盾に満ちた仕組みを合法的な現代の「奴隷制度」と言い切る人もいる。

 この国際貢献とは程遠い、合法的な現代の「奴隷制度」を取り上げた社会派ブラックコメディ映画『縁の下のイミグレ(イミグレ)』が6月30日から全国の映画館で順次公開されている。