“青春映画”をテーマに、制作費は1500万円、撮影日数は10日間という条件で映画制作に挑んだ『神回』の中村貴一朗監督、『17歳は止まらない』の北村美幸監督は、どちらも今回が初めての劇場公開作となる。だが両監督はすでに社会経験をしっかりと積んでおり、その作風は一時期流行したキラキラ系映画とはずいぶんテイストが異なる。
屈折した青春映画が好きな人におススメしたいのが『神回』だ。同じ時間が繰り返される「タイムループ」という形式を使い、ままならない学生時代を過ごす主人公の葛藤を描いている。
高校生の沖芝 樹(青木柚)は文化祭の実行委員になったため、夏休みも打ち合わせのために登校する。同じクラスの実行委員・加藤恵那(坂ノ上茜)と午後1時に教室で待ち合わせしていた。机の上で居眠りしていた樹は、恵那に起こされて目覚める。だが、2人っきりの打ち合わせは、5分間を過ぎると午後1時になぜか戻ってしまう。
異変に気づいた樹はこの状況から抜け出そうと、校舎から飛び出したり、手掛かりを求めて生徒会室を訪ねたりするが、わずか5分間では謎の解決には至らない。何度も失敗を繰り返すうちに、樹は自暴自棄に陥ってしまう。恵那を巻き込む形で、樹は暴走を始める。
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