2023年4月20日、十数年に1回しか起こらないという金環皆既日食(ハイブリッド日食)が、西オーストラリアで見られるということで、天文愛好家の方々の観測ツアーに同行しました!2週間かけて周遊したツアーのレポートです。

金環皆既日食とは?

一度でも皆既日食を見たことがある人は分かると思いますが、太陽と地球の間に月が重なることで太陽が隠され、昼間なのに突然夜になったように暗くなる神秘的な現象です。

皆既日食という現象自体は世界各地で毎年起こっていますが、観測できる場所は限られていますし、地球から月、太陽の距離、角度によっても見え方が違います。

2023年4月20日の皆既日食は主にインドネシアと西オーストラリアに挟まれた場所で見られましたが、中でも東ティモール、西パプアの一部と西オーストラリアの北西部に突き出た半島のエクスマウスという超ピンポイントな場所では、太陽と月の大きさがほぼ同じになることから金環皆既日食(ハイブリッド日食)という、十数年に一度と言われる非常に珍しい現象が見られました。

皆既の状態は1分弱と短いものでしたが、この一瞬の天体ショーを一目見ようと世界中からたくさんの人々が集まってきたのです。

半年以上前から準備開始

新型コロナ禍の中、旅好きな人ならきっと『あぁ、もっと旅行しておけば良かった…』と感じたはず。筆者もその一人でした。

佐賀天文協会関係者から2023年4月の皆既日食観測ツアーの話を聞いた時は、まだ海外に行けるかどうか分からない雰囲気でしたが、行ける時に行っておこう!と、一大決心。

行き先は西オーストラリアのエクスマウスです。

Solar eclipse map of path on earth/Eclipse Predictions by Fred Espenak, NASA's GSFC.

確実に行くために半年以上前から準備を始めました。

まず飛行機の手配ですが、当時はパースへの直行便がなく、シンガポールかクアラルンプールを経由して行く便しかありませんでした。

参加者の多くは福岡空港からシンガポール経由、ほかは成田空港からクアラルンプール経由の航空券を予約したのですが、撮影する夫に同行する形での参加なので、荷物は少しの着替えのほか、ほとんどが撮影機材。それでも規定の荷物重量オーバーで超過料金を支払いました。

次に現地での交通ですが、パースからエクスマウスまでは約1,200km。小型飛行機でも行くことができるようですが、途中で観光することも考えると総勢22名の団体では難しく、結局6人乗りの大型キャンピングカー3台とランドクルーザー2台を、現地でレンタルして移動することになりました。

最大の問題はエクスマウスでの宿泊でした。オーストラリア事情に詳しい人から情報をかき集め、Googleマップを駆使しながら何度もオンラインMTGを重ねた結果、「どうやら4/20の皆既日食観測用に巨大なキャンプサイトが設営されるらしい」との情報をキャッチ。

人気グループのライブチケット争奪戦さながら、予約開始時刻、一斉にみんなで予約サイトにアクセスを試みるもサイトがダウン…何度かそんなことが繰り返されましたが、最終的には無事に予約することができて一安心。

その後も持ち物や移動するコースなど、直前まで綿密な打合せが繰り返されました。