悪魔祓いの依頼のうちの98%は……

 劇中では、悪魔祓いの依頼のうちの98%は悪魔以外の原因、つまりは精神疾患などによるものだと言及がされている。さらに、終盤に暴き出される陰謀には、現在に至るまでの深刻な社会問題として議論されてきた、とあるショッキングな事実も関わっていた。

 さらに、アモルト神父、トマース神父、そして取り憑かれた少年の家族、それぞれが抱える“過去”は重いものであり、悪魔はその“心の隙間”を狙うかのように、狡猾で悪どい心理的な揺さぶりをもかけてくる。その悪魔との闘いは、誰もが遭遇しうる悲劇に対しての乗り越え方についての寓話にもなっている。

 劇中では身体が盛大に吹っ飛んだり、1973年の『エクソシスト』をオマージュした上でさらにパワーアップさせたような見せ場など、荒唐無稽にも思える箇所もあるのだが、そうした現実的な視点も十分に備えている、というわけだ。