7月14日より『ヴァチカンのエクソシスト』が公開中だ。本作は生涯で数万回の悪魔祓いを行ったという、実在のエクソシストであるブリエーレ・アモルト神父の著書「エクソシストは語る」に基づいている。
つまりは「実話もの」であるのだが、お堅い印象はほとんどなく、まるで『呪術廻戦』のようなド派手なバトルが楽しめる、エンターテインメント性抜群の“謎解きアクションホラー”になっていたのが嬉しかった。しかも、ただ悪魔を荒唐無稽な存在として描くだけでなく、現実的な視点も忘れない志の高さまで備えていたのである。さらなる魅力を記していこう。
ヒーローだが変人で、しかもかわいいラッセル・クロウ
シングルマザーのジュリアは、娘エイミーと息子ヘンリーを連れて、遺産として残されたスペインの古い修道院へとやってくる。そこでヘンリーは何者かに取り憑かれ、しゃがれた声で卑猥な言葉を投げつけ、自らの体を傷つけ、邪悪な顔つきへと変貌してしまう。ローマ教皇の命を受けたアモルト神父は修道院へと向かい、教区を受け持つトマース神父と共に闘いに挑むのだが……。
まず、本作の大きな魅力は、主人公のアモルト神父の特異なキャラクターだろう。見た目はいかにも堅物だが、オープニングの悪魔祓いでは笑ってしまうほどのハッタリ(?)をするし、悪魔相手にジョークを言うこともあるし、組織の中では“はぐれもの”で慣習や警告に囚われることなく行動する。ユーモラスかつ変人ではあるが、弱きを助けるために全力を尽くすヒーロー然とした信念も持ち合わせているのだ。
また、大柄な体つきにもかかわらず、イタリアの小柄なスクーターのランブレッタを乗り回す姿はなんだかかわいい。しかも、アモルト神父を演じたラッセル・クロウは初のホラー映画への主演かつ、ひどく迷信深い性格だったそうで、「怖い映画は好きじゃないんです。眠れなくなるから」と語っていたこともあったという。そんなギャップ萌え全開のラッセル・クロウが前蹴りで扉を蹴飛ばしたりする、悪魔祓いの能力以前に物理的にも強い様にも注目だ。