黒柳「じゃあ、研ナオコさんの孫はおばあさんと全然違う顔です」
研「いや、同じなんです」

 カメラのほうに向き直って「研ナオコさんの孫はおばあさんと全然違う顔です」と丁寧に訂正する黒柳。いや、そこじゃない。訂正するのはそこじゃない。細部の誤りを訂正するのではなく話の前提それ自体をひっくり返して自身の発言の事実ごとなかったことにするかのような黒柳の挙動。「いや、同じなんです」という研によるツッコミというかボケというか、どちらも混ざったようなコメント(このときの研のきょとんとした顔が絶妙)でオチがつき、一連のトークは完成するのだった。

 お笑いのトークとはまた違う、黒柳の独特だけど面白いトーク。途中で会話の流れが淀んで頓挫しそうになっても、そのゴチャっとしたところも見ている側は面白い。フォーマットとかお約束とかそういうものではなく、黒柳徹子という存在がこのトークを成立させている感がある。

 何が理由で彼女の存在がそんな効果を帯びているのかはよくわからないけれど、無二のポジションにいるのは確かなのだろう。