鈴木プロデューサーは『魔女宅』のような大宣伝は現代には向いてないと言わんばかりに、内容を明かしすぎる予告編はお客さんから映画の面白さを奪っていると語っていた。逆に宣伝しないことがお客さんのサービスになる、と。

 あと考えられるとすれば、宣伝しない、といったところで周囲が勝手に宣伝してくれることを期待したのではないか。

 例えばジブリの強力なパートナーシップ関係にある日本テレビの各番組で映画の話題が取り上げられるだろう。例えば、こんな風に……。

司会者「まもなく宮崎駿監督最新作、『君たちはどう生きるか』が公開されますが、この映画、‟かつてない”ことで話題なんですよ……それは、‟一切宣伝をしない”ということなんです!」

タレントA「宣伝しないってどういうこと?」

司会者「この映画、予告編もなければチラシもなく、ポスターが一枚あるだけなんです!宮崎駿監督と作画監督おひとりの名前があるだけで、吹き替えを誰が担当しているのか、それどころか内容も一切不明なんです」

タレントB「ありえないでしょ?」

司会者「ジブリの鈴木プロデューサーは‟思い切って大宣伝をやめてみる”という方針を明らかにしていまして、この映画公開日まで何もわからないんですよ。どう思います?」

ご意見番C「強気だねえ。でも宮崎監督の新作でしょ? みんな黙ってても観に行くんじゃない?」

タレントD「口コミでヒットしそうですよね」

司会者「前代未聞の宣伝しない映画『君たちはどう生きるか』は7月14日から全国で公開されます。みなさんはこの映画をどう見ますか?」

……みたいなやり取りがなされそうだなあ。