元総理の事務所の「一年生議員」

 国会も閉会し、何事もなかったような感じもありますが、議員会館の安倍元総理の事務所には、4月の補欠選挙で元総理の後継として出馬した吉田真次議員が入られています。これも前に書いてますが、この事務所にも「謎」がありましたね。

 国会議員は落選したら3日間で議員会館の事務所から退出するのが決まりです。ただでさえ落選してガッカリしているのに、短時間で荷物をまとめなくてはなりません。椅子やソファなどは国会が用意した「官物」なので、「差し押さえ物件」のように白いカードを貼られ、冷たい態度の職員が1時間ごとに「何時に出ていきますか?」とやってきます。これは経験した人でないとわからないと思いますが、「あのみじめな退出はイヤだよね……」と秘書仲間たちと話しています。

 引退が決まっている議員も退出のスケジュールはタイトなのですが、安倍事務所だけは国葬が行われた9月27日を過ぎても退出されていませんでした。前例がないので事務局も配慮したのでしょうが、議員が任期中に死亡した場合は、死亡の当日から公設秘書の登録もなくなり、お給料もストップします。「記章カード」という身分証も使えなくなるので、事務所に出入りできなくなります。ところが、安倍事務所関係者は特別な「記章カード」を与えられていたのか、国葬が終わっても事務所には出入りがあったのです。

 この謎すぎる事務所の主となった吉田議員は、山口県下関市出身の38歳。大学卒業後に大阪府議会議員の秘書を経て、2011年から下関市議会議員を務め、市議会副議長などを歴任した方です。安倍元総理の昭恵夫人が後援会長を務めたことも話題になりましたね。もともと昭恵夫人が後継者としてプッシュしていたようです。

 今も安倍事務所のベテラン秘書が吉田議員を補佐しているそうですが、安倍元総理時代にはなかった「試練」があるようです。たとえば「差し替え」問題。議員が委員会に出席できない時に、自分よりも期数が同じか少ない後輩の議員に出席をお願いすることがあるのですが、「1年生」の吉田議員は、この「差し替え」を頼まれることが多いそうです。