「あやしい人物」には秘書が声かけ?

 事件に関する報道も錯綜していましたね。事件から30分後には「心肺停止」と速報が出たのですが、自民党内の連絡網では、早い段階から「死亡」と伝達されていたそうです。

 インターネットの情報のスピードも驚きましたね。日本のメディアが「死亡」と出す前に、アメリカの知人から「安倍元総理が亡くなったみたいだけど、安保政策に変更はあるだろうか」などと問い合わせがありましたし、銃撃後には「使われた銃はハンドメイドなんだね」とメッセージもありました。なんでアメリカに住んでいる人がこんなに早く知ることができたのか、「事件はアメリカの陰謀なの?」と疑ってしまったほどです。

 一方で、元総理の事件を受けて、セキュリティに関してはかなり変わりましたね。野党の党首であっても、施設内での講演では自前のスタッフ20名以上の用意と、参加者には金属探知検査をすることを県警から指示されます。

 でも、これすごく大変ですよ。同じ県内で1日4カ所を回る場合、20名のスタッフがそのまま党首と一緒に移動できるわけではないので、合計で60名程度のスタッフが必要になります。受け入れの準備がとても大変になりました。準備を指示する秘書たちは「この費用対効果が、その党首に果たしてあるのか?」と苦笑いしていたそうです。