さらに、物価上昇に対して企業の賃上げが相次いでいるが、この賃上げもまた、今後の物価上昇要因になる可能性がある。それは、賃上げによる人件費の上昇を製品価格に転嫁するためだ。特に、原材料価格の上昇を製品価格に転嫁することのできる業種と違い、サービス分野では値上げが遅れる。こうしたサービス分野の値上げは、これから本格化を迎え、消費者物価の押し上げ要因になるだろう。

 コアCPIと消費者物価指数の中のサービス指数の動きをみると、コアCPIは21年9月に前年同月比で上昇に転じ、23年1月にピークを付けているが、サービス指数が上昇に転じたのは、コアCPIが上昇に転じた約1年後の22年8月で、その後も10か月連続で上昇を続けており、サービス分野の値上げが遅れていることは明かだ。

税収が過去最高更新は好景気を意味しない? 物価上昇はいつまで続くかの画像7

 日銀の植田和男総裁は6月16日の記者会見で「物価上昇率の低下は思ったよりも遅い」と述べている。だが、物価はまだまだ上昇が続くというのが正しい。