◆浮気した人を、行き止まりまで追いつめてはいけない
当然、彼の行状は妻の両親に知られるところとなった。
「いろいろめんどうでしたが、妻の両親にまで頭を下げさせられて元の鞘(さや)におさまりました。それが1年前です。でもそれきり僕の気持ちは妻には戻っていない。ミナコとは今でもたまに会っています。もうミナコのいない人生は考えられなくなった。発覚当時はそれほど真剣だったわけじゃないのに」
妻に追いやられたために、ミナコさんとより親密になったと言いたげだ。身勝手な話ではあるが、実際にこういうことは少なくない。だからといって、妻は夫の不倫を見逃したほうがいいというわけではもちろんない。追いつめ方にも工夫が必要なのかもしれないとは感じる。相手の性格次第だろう。
行き止まりまで追いつめてはいけない。逃げ場をなくして追いつめれば、人は思ってもいない方法でそこから脱出を試みるかもしれないから。そんな気がしてならない。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio